狛犬監視カメラ
小学生の頃、新築したばかりの家が嬉しくて毎日ランドセルを背負ったまま狛犬みたいに塀に座っていた。
通学路で曲がり角のすぐ先の所だったので、角を曲がった途端塀に狛犬座りしている私と鉢合わせした子達は皆一瞬固まって、出来るだけ目を合わせないようにそそくさと通りすぎて行った。
その間塀の上で器用に方向転換して彼らを見送る私。(可動式の監視カメラみたいな)
近所のおばちゃんからお菓子を貰った日にはポストをテーブル代わりに、塀に跨って優雅にティータイムを楽しんでいた。
同じクラスの マンション・アパート住まいの子が通ると、
「あなたたちは一戸建てじゃないから、こういう事できないでしょ!」
という妙な優越感からティータイムに誘ったりしていた。
これが2ヶ月程度続いて、いつものように狛犬監視カメラをしようとしたら足を滑らせて塀から落下。
頭を3針縫う怪我をしたため、狛犬は我が家の禁止事項になった。